毒グモ発見相次ぐ 市街地の公園3施設 奄美市名瀬 環境省「素手で触らないで」
2021年11月09日
地域
奄美市名瀬の公園3施設で8日までに、毒グモのハイイロゴケグモが相次いで見つかったことが分かった。人がかまれると腫れやかぶれなどの症状が出て、重症化する恐れもある。環境省奄美野生生物保護センターは「見つけても素手で触らず駆除して」と注意を呼び掛けている。
環境省や奄美市によると、同市名瀬金久町の「かねく公園」で10月31日、地元の小学生がベンチの下にいるハイイロゴケグモを見つけ、奄美署に通報した。環境省と市の職員らが公園内を確認したところ、遊具など複数の場所で生息している個体や卵が入っている袋状の「卵のう」を見つけた。クモは殺虫剤で駆除し、卵のうは回収した。
市は2日、名瀬地区の公園全41施設で調査を行い、「あさひ公園」(伊津部町)、「小宿中央公園」(小宿)でもクモが生息しているのを確認し、全て駆除した。ベンチや遊具などの工作物付近で、日当たりの悪い場所で見つかることが多いという。市は広報誌で周知し、住民に注意を呼び掛けるとしている。
ハイイロゴケグモは亜熱帯地方原産。体長は雌が1㌢ほど、雄が0・5㌢ほど。体は褐色で個体によって濃淡がある。腹部は大きな球状で腹面に赤い斑紋がある。卵のうは直径約1㌢、薄い黄色で表面に多数の突起があるのが特徴。外来生物法で2005年に特定外来生物に指定された。
県内では01年に県本土と奄美群島の各島で初めて生息が確認され、その後も断続的に見つかっている。船のコンテナなどに付着して侵入し、定着したとみられる。環境省の調査では、奄美大島では18年までに広い範囲で生息していることが分かっている。
奄美野生生物保護センターの後藤雅文離島希少種保全専門官は「島内で咬傷(こうしょう)事例は知る限りない。引き続き分布域などの情報収集を行う。見つけた場合は各市町村役場へ連絡してほしい」と話した。